千葉県鴨川市 大本山小湊誕生寺 公式サイト

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20.日蓮聖人六百五十遠忌報恩塔

20.日蓮聖人六百五十遠忌報恩塔

祖師堂手前にある二基の大きな石塔のうち、向かって右手は日蓮聖人六百五十遠忌報恩塔です。

塔身の高さ2.4m程で59.5cmに59cm角、蓮華座などの台石の部分が1.32m、さらに基台が2.8mありますから、総高は5.8m程にも達します。

塔身の正面には南無妙法蓮華経のお題目、右面に「勅諡立正(ちょくしりっしょう)日蓮大菩薩」、左面に「六百五十遠忌報恩塔」と刻まれており、日蓮聖人の六百五十遠忌報恩のために造立された題目宝塔であることが判ります。塔身右面の「勅諡立正」は、五百遠忌・六百遠忌の宝塔には見られませんが、これは日蓮聖人が立正大師(だいし)という大師号を勅によって、つまり天皇陛下から諡(おくりな)されたことを示しています。

「お大師さん」といえば弘法大師というように、大師は真言宗の開祖空海に限るのかといえば、そうではありません。興教大師(覚鑁(かくばん)、真言宗)、円光大師(法然、浄土宗)、見真大師(親鸞、浄土真宗)、承陽大師(道元、曹洞(そうとう)宗)など各宗の開祖や高僧がいます。

大師は、梵語シャーストリの漢訳です。偉大なる師という意味で、釈尊の尊称として用いられましたが、後に中国では専ら僧侶の中で特別な徳のある高僧の敬称または諡として用いられるようになりました。中国天台宗の開祖である智顗を智者大師または天台大師と称しますが、これは私に敬称したものです。その後、皇帝から勅号として贈られるようになります。

日本では、専ら諡号として没後に追贈されました。貞観8年(866)清和天皇が勅して日本天台宗の開祖である最澄に伝教大師、円仁に慈覚大師と追贈されたことが最初です。

日蓮聖人に立正大師の大師号が宣下されたのは、大正11年(1922)10月13日のことです。

日蓮宗をはじめとする日蓮聖人門下の宗派、各界で重要な立場にある聖人信奉者が、一致協力して大師号降賜を請願した結果です。

六百五十遠忌の正当は昭和6年でしたが、誕生寺に宝塔が造立されたのは昭和10年4月、67世今井日誘上人の代です。同年2月境内に聖人ご幼少の銅像が完成、3月には貴賓殿が落成、そして4月15日から6月10日まで六百五十遠忌法要が盛大に行われました。