千葉県鴨川市 大本山小湊誕生寺 公式サイト

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35.歴代墓地の釈尊像

35.歴代墓地の釈尊像

祖師堂左手にある歴代上人墓地の一画に、石仏が一体あります。右手は手のひらを開いて上を指し、左手も手のひらを開いて下を指すという、施無畏(せむい)・与願印(よがんいん)を結んだ釈尊の立像です。像の本体を光背、蓮華座と共に1つの石材から刻んだ舟形浮彫りで、像高は1メートル12センチ、蓮華座の高さ23センチ、光背の高さ1メートル38センチあり、高さ37センチの別材の台石の上に安置されます。このような石仏を造立することは、江戸時代に盛んに行なわれました。

銘文は、光背の頂部に「釈迦牟尼仏」、その下に「廷宝七己未七月日」と日付が刻まれています。日付に続いて「如安院日法」をはじめとする法名が、釈尊の両側を囲むように刻まれています。したがって、釈尊像は法名を刻みこまれた諸霊位を供養するために、延宝7年(1679)7月=お盆に造立されたことが判ります。当時の貫首は22世慈成院日明上人の代でありましょう。

銘文は蓮華座にも「以上十六人日牌月牌在之」と、外側の蓮弁に刻まれています。文中にある「日牌(にっぱい)」や「月牌(がっぱい)」は聞き馴れない言葉ですが、共に施主の願い出によって、位牌を安置し、読経供養して霊の菩提を弔うことです。日牌は毎日、月牌は月の命日に供養を行います。釈尊立像に法名が刻まれていた諸霊位は、別にお堂に位牌が安置され、菩提が弔われていたものでしょう。

日牌や月牌の位牌を安置するお堂については、月牌堂の記録が伝わっています。27世貫首の見龍院日裕上人が記した、正徳3年(1713)閏5月15日付棟札(むなふだ)です。この棟札には「六間四面新造月牌堂并築地二丈三尺余」とあり、この時新たに月牌堂が建立されたことが判ります。六間四面といいますから、なかなか大きなお堂です。時の執事は亮光院日我上人、棟梁は誕生寺門前波来町の森田庄兵衛尉義房があたりました。日裕上人代に建立された月牌堂は、その後宝暦8年(1758)の大火によって焼失したと思われます。

現在の誕生寺には、月牌堂に代わるものとして永代納牌壇があります。平成3年10月に完成した新本堂の、内陣後ろに設けられています。位牌には、小型の過去帳が納められ、壇上に整然と安置されています。毎朝の勤行では、永代納牌の霊名簿によって祥月命日に当たる霊位が回向供養されています。